日本神経筋疾患摂食・嚥下・栄養研究会

のみやすい剤形とは(2009/08)

 嚥下障害患者が錠剤を服用しにくいことは、一般に認識されている。
 そのため、散薬に変更したり、粉砕したりと工夫がなされている。ところが実際の服薬方法は、(水分はとろみをつけるように指示されていても)水でのんだり、お粥に混ぜたりと、嚥下機能や食感に配慮されていないことも少なくない。最近はゼリーにうまく包み込む服薬方法も少しずつ普及し、服薬用のクラッシュゼリーも市販されている。
 近年、「水なしでのめる」口腔内崩壊錠(OD錠)が増えてきているが、口腔内に入れてすぐ溶け始めるOD錠はむしろのみ込みにくく、咽頭残留も多い(臨床神経学49:90-95, 2009)。このため、嚥下障害患者には注意して処方する必要がある。

 また、経管栄養が閉塞しないように考案された薬剤の簡易懸濁法は、経口的に服薬する方法としてもすぐれている。 (「経管投与ハンドブック」倉田なおみ、じほう社)。微温湯に数個の錠剤を10分ほど入れておけば、ほとんどの錠剤が懸濁状態となり、とろみ剤や甘味を加えれば、とてものみ込みやすい状態となる。ただし、一部の薬剤はこの方法に適さないので、懸濁法を導入する前に薬剤師に確認する必要がある。
 患者さんにやさしい剤形を、もっと追求する必要があるのではないだろうか。

 

兵庫医療大学 リハビリテーション学部

野崎園子