日本神経筋疾患摂食・嚥下・栄養研究会

アイスマッサージの科学的メカニズム(2009/03)

 アイスマッサージは嚥下障害の臨床上頻用されていますが、そのメカニズムははっきりとはしていません。EBMからは短期(直後)効果は認められるが、長期効果は乏しいとされています。われわれは光トポグラフィーを用いてアイスマッサージ中の脳機能画像検査を行なったところ、本手技が感覚野のみならず一次運動野、運動前野にも影響を及ぼす結果を得ました。この結果はアイスマッサージが延髄までの反射弓のレベルだけでなく、大脳レベルでも嚥下運動に関与する可能性を示したものです。
 2009年3月に開催された米国嚥下障害学会(DRS)で、アイスマッサージの原法(thermal-tactile application)の開発者であるJerilynLogemann先生に上記の結果をお話ししたところ、‘そのメカニズムはあり得る‘とのお答えをいただきました。今後この機序をさらに詰めると共に、他の嚥下リハビリテーション手技の科学的根拠についても解明してゆきたいと考えています。

 

東京医科歯科大学 山脇正永