日本神経筋疾患摂食・嚥下・栄養研究会

トマトにはまっている(2016/04)

「トマトは私が一番よく好んで食べる野菜である」と書き始めて、ちょっと躊躇してしまった。フルーツトマトという言葉もあるくらいだから、「ひょっとすると果物かも」と思って調べてみた。するとなんとアメリカでは「トマトは野菜か果物か」ということが重大な問題になる事件があったそうである。植物学者は「果物」といい、農務省では「野菜」とみなし、裁判所では、「トマトは食事中に食べられ、デザートとはならない」点を重視してやはり野菜だとした。
話は変わるが、アメリカ・カリフォルニア州のある地方紙で「寿命を延ばす10ヶ条」なるものが挙げられている。その第一位は「笑う」こと、第二位は「携帯電話を運転中に使用しないこと」、第三位は「ストレスを減らすこと」、第四位は「歯の手入れ」で、五番目は「運動をすること」である。第六位が「頭の体操をする」で、第七位が「ビタミンを摂取する」、第八位が「ファーストフードを食べない」、第九位が「トマトを食べる」、第十位が「喫煙をやめる」だということである。なんとトマトを食べると寿命が延びるそうで、トマトの成分はその90%が液体であるが、中に赤色色素のリコピンが含まれていてがんの予防効果があるようだ。
ところで私がトマトに「はまる」ようになったのは20年ほど前に、南九州病院に勤めていた看護師さんのお兄さんがトマト栽培をしているということで、たくさんのトマトを持って来てくれた。これが美味しくて、院長雑感に「私の脳みそはトマトに入れ替わった」と書き記したほど毎日食べた。しかし小さい頃はどちらかというとそれほど好きでなかったのに、口の中に広がるトマト独特の「おとなの味」にはまってしまったのである。やや甘酸っぱい味もいいし、種が歯の間を転げるような食感も何ともいえない。現在では週末に5個ほど入ったパック入りのトマトを買ってきて冷蔵庫に入れていて、毎朝一個ずつ食べている。同じような外観でも味は千差万別で、美味しいものとそうでないものとの違いは大きい。

公益社団法人鹿児島共済会 南風病院
福永秀敏