日本神経筋疾患摂食・嚥下・栄養研究会

個々の体質も考慮して評価を(2021/01)

体質とは「遺伝的素因と環境要因との相互作用によって形成される、個々人の総合的な性質」と定義されている。健診の評価を行うときには「総合的な性質」と表現されるように、体重や血液検査の数値などは、その辺りを勘案して評価が必要ではないだろうか。
健診の結果説明の時のことである。
58歳の女性で、161センチで38キロと書かれている。自覚症状にも既往歴にもチェックは入っていない。診察室に入ってきた女性、確かに痩せてはいるが健康そうにお見受けする。一般的な内科診察の後で、「痩せてはいますが、特に病気はないようですね」と話しかけると、わが意を得たとばかり「先生、そうなんです。私の体重はここ10年ほど全然変わっていません。食欲もあってよく食べるんですが、太れない体質だと思っています。父も痩せていましたから」。
ところが健診結果にはいつも『バランスのいい食事をとって、もう少し体重増加を図ってください。精密検査も考えてください』などという文言が並ぶので、不愉快なんです」と話される。
41歳の男性、174センチで54キロとこちらも痩せ型である。胸部写真や心電図、超音波検査などに異常はなく、ただ血液検査でビリルビン値が基準値より少し高値で白血数が2500と少ない。ただこの二つの数値は過去数年間の検査でも、同じような値となっている。
一応の説明が済んだのち、「いつも要精密検査と言われてきました。白血数は父も低くて、家系的なものと思っています」と言われる。「私もそのように解釈しますが、コンピューターはその辺りのことはわかりませんので、基準値を外れるとHやLという文字が印字されるんですね」。
ところが「そこが私には死活問題になるんです。住宅ローンの借り入れの時に団体信用生命保険(借り入れている人が万が一死亡した時に ローンが弁済されるもの)に入ることができないのです。どうにかならないものでしょうか」と言われる。
体重などはその人にふさわしい体重というものがあり、単純にBMIで評価できるものではない。また白血数やビリルビン値、悪玉コレステロール値など、体質的な要素が強いように感じている。
人の健康状態を判断するときには、単純に数値のみでは推しはかれないものがある。

国分中央病院院長  福永秀敏