日本神経筋疾患摂食・嚥下・栄養研究会

摂食機能療法に関わる診療報酬が改定された(2020/04)

令和2年度、摂食嚥下障害を有す患者に対する診療報酬が改定された。今回の改定の骨子は、多職種チームによる効果的な介入が推進されるよう、経口摂取回復促進加算の要件とその評価が改められたことである。
そもそも摂食機能療法は、今から26年前、1994年より始まり、その成果は、2007年には日本摂食嚥下リハビリテーション学会で示された。その後、摂食機能療法の理解と技術の向上が計られて来た。加えて、日本摂食嚥下リハビリテーション学会における認定制度、日本看護協会による摂食・嚥下障害看護認定看護師制度、言語聴覚士協会における認定言語聴覚士制度(摂食嚥下障害領域)、日本栄養士会でも摂食嚥下リハビリテーション栄養専門管理栄養士、日本歯科衛生士会でも認定歯科衛生士認定分野A(摂食嚥下リハビリテーション)などが創設されるに至った。それだけ摂食機能療法に関する理解が深まって来たということである。
所で、当院では摂食機能療法に対する診療報酬が認められる以前から、早々と嚥下チームが組織され、病棟単位にコアナースを置いて、摂食嚥下委員会として活動して来た。2012年には、摂食・嚥下障害看護認定看護師が1名誕生し、2019年より院内措置ではあるが、摂食嚥下障害院内認定看護師制度を立ち上げて、現在は2名が、技術の向上と普及を目指して活躍している。
そこで、今回の法改定を受けて、さらに専任チームの強化に動いているところである。その背景は言うまでもなく、摂食嚥下障害で悩む方々は、院内のみならず施設、在宅に大勢おられ、私共の目標が入院から退院後までの連続性の維持にあることは言うまでもない。早急にうち建てたいのが、退院時の評価から退院後の評価への連続性の確保である。但し、現状では施設での評価には限界もあり経口再開にリスクを伴うこともあって、適宜、嚥下機能評価の評価入院が、よりスムースに運べ、VF、VEなどで評価すると共に、院内の多職種チームで得られた情報を施設のチームと共有し連携を図りたいと思い描いている。
今後そうした活動を嚥下フォーラムで地域に発信して行くつもりであるが、新型コロナウイルスによる医療崩壊も危惧されている現状ではそれどころでなく、まずはコロナ対応をしっかり実施したいと考えている。

国立病院機構鳥取医療センター 脳神経内科
金藤大三