日本神経筋疾患摂食・嚥下・栄養研究会

新たな舌トレーニングデバイス「ペコじーな」(2023/01)

舌は様々な口腔機能の一役を担っています.食事という観点からは咀嚼や嚥下のみならず味覚や触覚,温冷覚などでも大きく関与しています.舌は食物を取り込み,唾液と食物を混和するなど複雑な動きをしつつ,咀嚼した食物を徐々にまとめながら,舌尖を上顎前歯の口蓋側につけて波状に動かしながら咽頭・食道へと送り込みます.

老化とともに全身の筋力や筋量が減少するように,舌の厚みなども減少し,舌圧も低下します1.舌圧はサルコペニアによる嚥下障害とも深く関わっており,嚥下に関連する筋の低下を評価する際には,舌圧が診断基準として用いられます2(図1).

「ペコじーな」(JMS,広島)は,手のひらサイズの本体と連結チューブならびに舌圧プローブから構成されています(図2).専用のプローブをくわえ,舌圧を発揮すると,その力を3段階でレベル表示できます.本体画面を見ながら舌のトレーニングを行います.

さらにゲームモードでは,専用アプリで遊びながら舌の力を鍛えることが出来ます.本体をスマートフォンやタブレットPCとBluetooth接続させ,専用アプリで舌圧トレーニングを行います.アプリはApp StoreおよびGoogle Playで入手可能です.

ゲームは,舌の筋力アップを目指す「下駄飛ばしゲーム」と筋持久力アップを目指す「釣りゲーム」の2種類です.

「ペコじーな」は,医療現場はもとより,介護現場やご家庭で,どなたでも楽しく簡単にご使用いただけます.地味でリハビリテーションの効果がわかりづらい舌のトレーニングですが,この「ペコじーな」なら,トレーニングの結果を即時に確認でき,達成感も得られることより毎日楽しみながらトレーニングの継続も可能です.

ペコじーなHP;https://pecogina.jms.cc/

1) Utanohara Y, Hayashi T, Yoshikawa M, et al. Standard values of maximum tongue pressure taken using newly developed disposable tongue pressure measurement device. Dysphagia 2008; 23(3): 286-90.

2) Fujishima I, Fujiu-Kurachi M, Arai H, et al. Sarcopenia and dysphagia: Position paper by four professional organizations. Geriatr. Gerontol Int. 2019; 19: 91-7.

広島大学大学院医系科学研究科先端歯科補綴学 吉川峰加 

202301図1

202301-2図2

202301-3図3

202301-4図4