日本神経筋疾患摂食・嚥下・栄養研究会

経頭蓋直流電気刺激による嚥下障害の治療(2014/05)

電気刺激治療は嚥下障害の治療として普及しつつある.経頭蓋直流電気刺激(Transcranial direct current stimulation;以下tDCS)は頭皮上から弱い直流電流を流すことで皮質の興奮性を変化させて,伝導路の促通効果があると考えられ,近年,脳卒中のリハビリテーションで注目されている.tDCSは非侵襲的に大脳皮質を直接刺激し,皮質の興奮性を変化させることが可能であり,近年,脳の可塑性への応用が研究されている.また,経頭蓋磁気刺激に比して刺激装置が安価で簡便であることから,今後,臨床面への応用が期待される方法である.

 重松らは脳卒中後の嚥下障害患者20名にtDCSを施行し,その安全性と嚥下障害に対する治療効果をRCTで報告している.病側大脳半球の咽頭領域に1mA, 20分間の陽極刺激を施行した.刺激前,刺激後,刺激1ヶ月後のDysphagia Outcome and Severity Scale(DOSS)を対照群と比較して改善を認めた.有害事象や肺炎等の合併症はみとめなかった.

 tDCSは脳卒中急性期のみならず,慢性期の嚥下障害にも有効であることが報告されており,今後の展開が楽しみである.

Shigematsu T, Fujishima I, et al. Transcranial direct current stimulation improvesswallowing function in stroke patients. Neurorehabil Neural Repair, 27:363-369(2013)

京都第一赤十字病院 神経内科
巨島 文子