日本神経筋疾患摂食・嚥下・栄養研究会

防災グッズ提案(2012/12)

昨今、今後予測される関東直下型地震や東南海地震などに備えて、障がいのある方の医療的・介護的ケアのあり方が注目されつつある。
 
東日本大震災以降、本研究会の今月の情報コラムには、「震災レポート」として、多くの方から貴重な現地情報をいただいた。そのレポートと筆者の被災地訪問から伺ったお話をふまえ、防災グッズの提案をする。
 
災害直後や応急復旧期には、摂食嚥下障害のある方への食事の個別対応は難しいことが多い。
 
これまで在宅で過ごして来られた患者さんが、避難生活においても平素の嚥下調整食に近い物が食べられ、また、口腔・咽頭ケアが何とかできるよう、患者・介護者側が備える必要がある。以下のような防災グッズを用意するとよいのではないか。
 

防災グッズ
食品:レトルトパックのお粥や介護食、フリーズドライ食品、トロミ剤、水・クラッシュゼリー、経腸栄養剤(粉末を溶かすタイプもある):これらには賞味期限があるので、平素からときどき入れ替え、その時に防災食を食べてみるのもよい。
 
食器など:支援の食料を手早く加工するために、キッチンバサミや小さいすり鉢なども重宝である。避難する時は、できるだけ平素使っている食器(コップ・スプン・ストロー)も持っていく。
 
ケアグッズ:口腔ケアセット、義歯のケアセット、口腔乾燥を防ぐためのマスク、使い捨てのコップやスプン、義歯を外してしまうと次第に装着困難になるので、義歯を水の入った容器に入れて保存するための小さめのタッパーとか小さいサイズのジッパー付きのビニール袋、老眼鏡も必需品である。
 
必要に応じて、充電式(平素から充電しておき)の吸引器や経管栄養注入グッズもリストアップしておく方がよい。
 
災害の規模や被災状況、ライフラインの復旧程度により、避難生活はさまざまであろうと思われるが、嚥下障害のある方が少しでも安全にお食事を食べて頂けるために、平素備えておくとよいのではないだろうか。
 

兵庫医療大学 野﨑園子