日本神経筋疾患摂食・嚥下・栄養研究会

日本神経摂食嚥下・栄養学会(JSDNNM) 代表理事ご挨拶

JSDNNM代表理事 平野 牧人(ひらの まきと)

 

このたびJSDNNM初代代表理事 野﨑園子先生の後任として、2025年10月より代表理事に就任することになりましたので、一言ご挨拶申し上げます。
本会は、湯浅龍彦班長による厚生労働省精神・神経疾患研究委託費「神経疾患の予防・診断・治療に関する研究班」、「政策医療ネットワークを基盤にした神経変性疾患の総合的研究班」の班員による「摂食・嚥下障害勉強会」が原点であり、その後、川井充班長の厚生労働省 筋ジストロフィー研究班の支援を得て、本学会の前身となる日本神経筋疾患摂食・嚥下・栄養研究会が始まりました。2005年8月20日の第1回学術集会長崎大会(福永秀敏大会長)より2022年9月3日東京大会まで18回の学術集会を積み重ね、2019年10月19日の第19回岐阜大会において、「日本神経摂食嚥下・栄養学会(The Japan Society for Deglutition and Nutrition in NeuroMuscular Disorders:JSDNNM)」と改称することが会員総会で承認され、研究会から学会へと新たなスタートを切りました。
 学術活動としては、年1回の学術集会の成果をもとに、eジャーナルを発刊し、理事執筆による毎月のコラムも1号も欠かさずホームページに掲載してまいりました。
 本学会は 脳卒中・神経難病・筋疾患など脳神経内科に関わるすべての疾患の摂食嚥下・栄養障害について、脳神経内科・耳鼻咽喉科・リハビリテーション科・消化器科・呼吸器科などの医師、歯科医師、リハビリテーション専門職・管理栄養士・看護師・歯科衛生士・臨床心理士などの医療職、介護職、さらには倫理の専門家などの方々や関連する学会との連携を深めていく学術集団を目指しており、実際に理事の皆様は多職種の方にご参画いただいております。
 脳神経内科領域では、初期から終末期までの医療において、摂食嚥下・栄養障害についての対応が求められます。一例として筋萎縮性側索硬化症(ALS)では、疾患初期の栄養障害・体重減少が予後に直接的な影響を及ぼすことが、また、その他の多くの神経疾患においては摂食嚥下障害に関連する誤嚥性肺炎は生命予後の決定因子となることが知られております。一方、これまで難攻不落とされてきたALSの一部に対してですが、疾患の根本への治療が始まっており、今後も様々な神経変性疾患への根本治療が開発されていきますが、嚥下障害への効果は不透明です。
わたくしは、「基礎・臨床研究を推進する本学会に関わる関係者が、平素の経験を分かち合い、解決の糸口を見いだせるように」との本学会の理念を引き継ぎ、さらに前進させて参りたいと考えております。
多くの皆様の当学会へのご参加をお待ち申し上げております。

2025年10月