日本神経筋疾患摂食・嚥下・栄養研究会

日本神経筋疾患
摂食・嚥下・栄養研究会とは

湯浅先生写真

2017年年頭所感

「Garden of Eden」

代表世話人湯浅龍彦 鎌ケ谷総合病院千葉神経難病医療センター・センター長

 

 2017年の年頭に当たり、私はまずもって、当会の設立に大きな功績のあったお二人の御霊前に感謝の念を捧げる。故井形昭弘先生(当会顧問)と故川井充先生(前東埼玉病院院長)である。既にお伝えした通り井形先生は昨年の8月に逝去され、そして9月には川井先生の訃報である。まさにこれからという矢先に真にいたわしい限りである。本研究会は川井先生という存在なしには存立できなかった。先生とは厚労省関係の班会議や医療編集委員会等を二人三脚で運営し、どれだけ助けて頂いたことか、当時の先生の直向な雄姿がまぶたに浮かぶ。先生の考えは深い知識と高い理性に裏打ちされ、常に他人を気遣い笑顔の中に信念を貫かれた。なぜこうも早く逝ってしまわれたのか、残念である。
 

 昨年は4月に熊本大震災があり阿蘇山が噴火し、10月には倉吉で激震があり、自然災害も猛威を振るった年であった。生命体の根源である惑星地球号そのものの軸が確実にうごめいている感を強くする。政治、経済が不透明感を増す中で超高齢社会へ突入したわが国を取り巻く環境も又一層厳しさを増している。そうした中で我々日本の医療者の役割は益々大きい。人々の心の中心にあって頼れる柱にならなければならない。多少極論すれば医療分野のみが望みである。経済中心に利潤追求が目的となってはならない。どの分野であれ活動には裏打された慈悲が必要である。科学と学問の目的は、小さきは個々人の、そして大きくは人類の、いや地球上の生命体の、或いは惑星地球号の安寧の為にのみある。
 我々の学会は真に小さい。そこで取り扱われる命題は、いわずもがな摂食(eating)・嚥下(deglutition)・栄養(nutrition)である。これらが何かと問われれば命の源泉を支える基本的機能eating,deglutition & nutrition(EDeN)であり、本学会の目的はその機構と機序を解明し、それらの障害に悩む人々に安心を届けることである。EdeN(エデン)こそが命の根源をなし、感覚、運動、消化、生殖、判断、創造、芸術、社会の構築など全ての機能発達の根本をなすのである。即ち、本学会が扱うべき命題は脳機能全般に関わる基本的事象を対象とする学問分野である。私は会員の皆様と共に希望と信念をもってこの分野の学問的進展を図りたいと願う。何故ならそこに困難を抱えた患者があり、途方に暮れる家族がおいでであるからである。
 

 今後の目標としては、現在急速に発展しつつ脳機能ネットワーク研究の中にEDeNを位置づけること、次に会員のそれぞれが、若き研究者は掘り下げ、体力溢れる蒼年は重ね積み上げ、気力充実した壮年は纏め広げ、見通しの利く老年は伝え育てることで各自がその年代に合った働きをもって大いに活躍することである。
 昨年10月21日の倉吉大地震は本会第12回学術集会(鳥取大会)の前日であり大会の開催が危ぶまれる中、緊迫した場面もあった。幸いに倉吉での被害の拡大がなく、しかも鳥取市内の被害は殆ど報告されず(長周期地震であったために近隣地域より広島や岡山など遠方の都市の揺れが強かった)、鳥取大会は無事終了した。震災の直後にも関わらず230人の参加者があったという。大会の運営に当たられた金藤大会長、そして運営事務局の皆々様のご心労や如何ばかりかとそのご苦労に感謝する。更にそこで新たな世話人が選出された。戸原 玄先生、平野牧人先生、和座雅浩先生、吉川峰加先生である。今後新たな力を結集して益々人々の期待に応えうる学会に成長できることを祈って年頭挨拶とする。

             2017年が会員の皆様にとって無事息災の年でありますよう。