日本神経筋疾患摂食・嚥下・栄養研究会

介護職による医療的ケア(2012/08)

重症の嚥下障害患者さんのケアでは、在宅での吸引や経管栄養の管理が、ご家族の介護負担となっている。この度の「社会福祉士及び介護福祉士法施行規則の一部を改正する省令」は、介護職が医療的ケアを行うことできるが道を開いたという点で喜ばしい出来事である。
 
この省令により、介護福祉士や一定の教育を受けた介護職員等による喀痰吸引・経管栄養のケアが可能となった。喀痰吸引・経管栄養の業務を行う事業者や介護職員等に対しは、研修と登録などについて定められた。詳細はhttp://www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/hukushi_kaigo/seikatsuhogo/tannokyuuin/
index.html
を参照されたい。以下その概要をお示しする。
 
「社会福祉士及び介護福祉士法施行規則の一部を改正する省令」(抜粋) 施行日:平成24年4月1日
 
介護サービスの基盤強化のための介護保険法等の一部を改正する法律により、介護福祉士や一定の教育を受けた介護職員等による喀痰吸引・経管栄養の実施を可能とすることに伴い、経管栄養等の業務を行う事業者や介護職員等に対し研修を行う者について、以下の内容について都道府県の登録基準等を定めている。
 
1)喀痰吸引・経管栄養の内容
2)喀痰吸引・経管栄養の業務を行う事業者の登録基準
(1)医療関係者との連携に関する基準(2)安全適正に関する基準
3)研修機関の登録基準
4)喀痰吸引・経管栄養を安全・適正に実施するための基準
 
新規の介護職については上記の省令に従うが、ALSについては、「ALS患者の在宅療養の支援について」(平成15年7月17日発出)の通知により、研修機関の研修を改めて受講しなくても、適切に行うための知識・技能を修得している旨の証明書類を提出し、都道府県知事の認定証の交付を受けて、ケアを実施することができる。
 
慢性疾患の患者さんの医療的ケアの知識や手技は、定期的に確認する必要がある。自己流になっていないか常にチェックを受ける体制を維持することが、家族と介護職がケアを安全に共有するための第一条件である。
 

兵庫医療大学 リハビリテーション学部

野﨑園子