日本神経筋疾患摂食・嚥下・栄養研究会

摂食嚥下・栄養サポートにおける多職種連携―第18回東京大会のご案内―(2022/01)

第18回日本神経摂食嚥下・栄養学会東京大会を2022年9月3日(土),東京都府中市で開催することになりました。コロナ禍のため2020年大会は延期,2021年大会はWEB開催でしたが,2年ぶりの現地開催を目指して準備しております。久しぶりに顔と顔をつきあわせて,熱い議論を交わすことができればと願っております。
東京大会のテーマは「多職種で極めよう栄養サポート―病初期から終末期まで―」です。摂食嚥下・栄養サポートの目標は栄養状態の維持・改善であり,「生活の質(QOL)」の向上です。根本的治療が確立されていない多くの神経難病において,多職種連携のもとでいかに栄養療法を行い,患者のQOLを維持させるかは,もっとも重要な課題の一つであると言っても過言ではありません。それぞれの神経疾患における栄養障害の知見を深め,エビデンスに基づいた栄養サポートを行っていく必要があります。また看護師や栄養士,言語療法士などの多職種介入は不可欠で,いかに地域でチームをつくるかが問われています。
今回は特別講演に,外科医として栄養療法を牽引してこられた日本臨床栄養代謝学会(JSPEN)理事の丸山道生先生をお招きしました。嚥下食,胃瘻造設の意義,成分栄養等の観点からお話をいただく予定です。教育講演は,東京都立神経病院院長の高橋一司先生,国立精神神経研究医療センター(NCNP)病院院長の阿部康二先生にお願いをしております。シンポジウムとしては,「多職種による嚥下・栄養サポート連携」と題して,4人の異なる職種の演者(歯科医,看護師,栄養士,脳神経内科医)にそれぞれの立場から栄養サポートの意義と連携について語っていただきます。また今回,副会長企画として臼井晴美先生(NCNP病院)に摂食嚥下認定看護師の立場から議論する場を設けていただきました。認定看護師の活動にスポットをあて,これまでの苦労話や今後の展望について皆さんで共有したいと思います。
神経難病の中でも筋萎縮性側索硬化症(ALS)については,近年栄養・代謝に関する研究報告が著しく増加しており,世界的なトピックスになっています。とくに,体重減少の責任病巣,代謝亢進の意義,脂質代謝へのシフト(fuel switch),栄養療法の治験,など様々な角度からエビデンスが構築されつつあります。またパーキンソン病においても,栄養障害と重症度との関連は確立されつつあり,今後の展開がおおいに期待されるところです。神経難病における栄養療法は古くて新しいテーマであり,東京大会が少しでもその発展に貢献できればと願っております。

東京都立神経病院 脳神経内科 清水俊夫

東京大会HP:https://square.umin.ac.jp/jsdnnm2022/