日本神経筋疾患摂食・嚥下・栄養研究会

食と生を支えるコンサルタントナース活用のすすめ(2023/12)

摂食嚥下障害患者の食を支えるためには、摂食嚥下機能の評価や代償方法の検討、心理・社会面へのサポート、経口摂取を安全に行うための幅広い専門職からのアプローチが必要になります。しかし、摂食嚥下の専門家が在籍している施設はまだまだ多くはありません。そのため、摂食嚥下障害患者を支えている医療・福祉職一人ひとりが、摂食嚥下に関する基礎的な知識・技術をもちケアに携わることが大切になります。そこで、活用いただけるのがコンサルタントナースであると考えています。コンサルタントナースとは、「専門看護師や認定看護師の資格を持ち、外部からコンサルタントとして教育する専門性の高い全分野の看護師」を指します。現在6名のコンサルタントナースが活躍しており、このうち3名が摂食嚥下分野を専門とする食と生を支えるコンサルタントナース(以下コンサルタントナースとする)です。

関西を中心とした活動を行う「Taste&See」のコンサルタントナースである筆者は、2016年から現在まで、主に6カ月間(月1回~4回)程度の「食と生を支えるコンサルテーションプログラム(以下プログラムとする)」を20以上の病院などの施設に提供してきました。このプログラムは、摂食嚥下障害患者に関わる医療・福祉職が摂食嚥下に関する知識や技術を習得し患者のアドボケーターになることを目指しています。プログラム終了後には、「食べられないのは仕方ない・誤嚥をおこすのは高齢だからとあきらめや決め付けではなく、患者の口腔ケアと嚥下訓練を通して快のニーズに訴えかけられるようになってきました」などの感想が受講者から寄せられ、患者の喫食量の増加などの成果を認めています。また摂食機能療法や経口維持加算の算定による施設経営への貢献にもつながっています。

これらにより、コンサルタントナースが行う医療・福祉職に対するプログラムは、摂食嚥下障害患者の生活に寄り添い支える専門職の育成につながるものと考えられます。その他プログラムを提供しているコンサルタントナースは、千葉県にある「食べたい‐おくちから」と沖縄県にある「Comer」に所属しています。今後コンサルタントナースの活用がさらに広がることを期待しています。

 

 

参考: 「Taste&See」のホームページ https://taste-and-see.jp/

「食べたい‐おくちから」のホームページ https://tabetai-okuchikara.com/

「Comer」のホームページ https://comer.okinawa.jp/

Taste&See

西依見子