日本神経筋疾患摂食・嚥下・栄養研究会

高齢者が美味しく食べる食事と栄養管理(2026/01)

日本では寿命が延び、高齢期で健康に過ごすための生活がわかりつつあります。高齢になると筋肉が落ちやすくなります。特に下肢の筋肉が低下すると、歩く速度の低下が起こります。さらにこの現象が進むと自力での歩行が困難となり、車いすでの移動となります。この自力歩行能力と食べる力は関連していて、自力歩行できる高齢者の7割の方は普通食を摂取していますが、車いすを使用している高齢者では、普通食を食べているのは3割と大幅に少なくなります。また寝たきり状態になると普通食を食べている方はほとんどいません。つまりいろいろな食事を美味しく食べるには、自力で歩く能力を維持することが重要です。

筋肉の低下が起こる機序もわかりつつあり、最初の要因としては、社会性の低下つまり、誰かと食事をする機会が減ったり、人とのつながりが希薄になることから起こると考えられています。この社会性の低下は身体活動の低下や生活の質の低下につながり、これらの要因が筋肉を減少させてしまいます。

対応としてはしっかり食べること、特にたんぱく質を意識して朝から食べることが重要です。たんぱく質は1食20gを目指して食べてください。朝食であればたんぱく質を20g摂取するには、6枚切り食パン1枚でたんぱく質が約6g、卵1個で約6g、ヨーグルト(70g)で約3g、牛乳150mlで約5gとなります。1つの目安に考えていただければと思います。また筋肉の維持に重要なもう1つは運動です。1日40分(約6000歩)の歩行を毎日目指してください。

県立広島大学  栢下 淳