日本神経筋疾患摂食・嚥下・栄養研究会

サルコペニアに伴う摂食嚥下障害―早期診断と介入サルコペニアに伴う摂食嚥下障害―早期診断と介入(2020/02)

「サルコペニアに伴う摂食嚥下障害」は過去のコラムでも取り上げられていますが(2012,2015,2017年)近年、早期発見と介入が勧められています。サルコペニア(sarcopenia)は1989年にRosenbergにより提唱され、以後、European Working Group on Sarcopenia in Older People (EWGSOP)、アジアの疫学データを基にしたAsian working group for sarcopenia (AWGS) により診断基準が発表されてきました。2017年には日本のサルコペニア診療ガイドラインで「高齢者にみられる骨格筋量の減少と筋力もしくは身体機能(歩行速度など)の低下」と定義されました。骨格筋量の減少が必須項目ですが、DXA(二重エネルギーX線吸収測定法)、BIA(生体インピーダンス法)などが検査できないと正確な診断ができないことが問題でした。2019年AWGSは下腿周囲長や筋力(握力など)、身体機能の低下が認められれば、サルコペニアを疑って介入する診断の流れを示しました(図1)。さらに正確な診断は専門病院で行います 。サルコペニアの早期発見および介入が推奨されています。
サルコペニアの摂食嚥下障害とは全身と嚥下関連筋の両方にサルコペニアを認めることで生じる摂食嚥下障害です。2019年サルコペニアと摂食嚥下障害について文献的に検索して整理したポジションペーパーが出ました 。診断にはフローチャートを用います (図2)。嚥下関連筋群の筋力低下は舌圧で評価しますが、測定できなくても、この段階で「可能性あり」と判断できます。
嚥下筋は常に呼吸筋からの活動が入り、骨格筋でありながら四肢の筋肉とは由来が異なります。しかしながら,栄養不足や絶飲食などによる不使用の影響は避けられず,嚥下筋のサルコペニアによる摂食嚥下障害をきたす可能性があります。その予防や治療はサルコペニアの改善とリハビリテーション、栄養管理です。全身のサルコペニアと同様、早期発見により治療や介入を行うことが必要と考えます。
諏訪赤十字病院   巨島 文子
図1 サルコペニアの診断と流れ
図2 サルコペニアの摂食嚥下障害診断フローチャート
202002(クリックすると図1 サルコペニアの診断と流れと図2 サルコペニアの摂食嚥下障害診断フローチャートのファイルが開きます)
Asian Working Group for Sarcopenia: 2019 Consensus Update on Sarcopenia Diagnosis and Treatment. JAMDA xxx (2020) 1-8
Fujishima I, et al. Sarcopenia and dysphagia: Position paper by four professional Organizations. Geriatr Gerontol Int. 2019 ;19(2):91-97
日本語版:サルコペニアと摂食嚥下障害 4 学会合同ポジションペーパー
Mori T, et al. Development and reliability of a diagnostic algorithm for sarcopenic dysphagia. JCSM Clinical Reports 2017